【住宅みらい会議 第1回 開催レポート】現場の声から考える、住宅とLGBTQ+のこれから。

2025年7月24日、住宅みらい会議の記念すべき第1回目のイベントを開催しました!

本イベントでは、「LGBTQ+を取り巻く住宅市場最前線!」をテーマに、全国の住宅・不動産企業を対象に実施したアンケートの結果を初公開。不動産業界におけるLGBTQ+当事者への対応状況を、リアルなデータと共に明らかにしました。

また、現場で実際に取り組みを進めている住宅業界関係者の方々をパネリストとして迎え、社内での変化や現場対応の課題、そして業界全体としての今後の展望について、具体的な事例とともに語り合いました。

目次

◼︎セッションⅠ:業界リテラシーと社内の取り組み状況


2025年5月に実施された調査では、不動産業界においてもLGBTQ+やセクシュアリティに関する用語の認知度は高まりつつあるものの、具体的な取り組みは依然として「実施していない」が約半数という結果でした。

こうした中、すでに社内施策を進めている企業の皆さんに、取り組みを行った結果、どのような変化が生まれたのかについてお話ししていただきました。

積水ハウス株式会社の祝原さんは、アライネットワークを通じて、LGBTQ+当事者のカミングアウトが増加したと語りました。また、障害や不登校の子を持つ社員なども自己開示できるようになったそうです。心理的安全性の醸成が進んでいる実感があるとお話しされました。

大和ハウス工業株式会社の長谷川さんからは、同性パートナーを配偶者として認める制度の導入後、即時に利用者が現れ「これがあるだけで安心」といった声が寄せられたとご紹介いただきました。それを機に、LGBTQ+関連の話題が社内でも自然に扱われるようになってきたと述べられました。

株式会社LIFULLの龔さんは、社員主導のボトムアップ型で制度が動いたことが特徴としつつも、組織全体に波及しているわけではなく、「心理的安全性」はいまだ課題が残ると率直にお話しされました。

◼︎セッションⅡ:業界課題とお客様対応における状況


調査では、LGBTQ+当事者からの入居相談を「受けたことがある」と回答した割合は全体の約30%。しかし、その多くは当事者間での対応にとどまり、非当事者であるスタッフが相談を受けるケースはごく少数であることが明らかになりました。

また、推進を阻む要因として最も多かったのは「オーナーや他入居者からの反発への懸念」であり、次いで「対応ノウハウの不足」が挙げられました。

パネリストの皆さんからは、現場でどのような課題があるのか、具体例を交えて語られました。

積水ハウス不動産ホールディングス株式会社の田中さんは、全国で70万室を管理するうちの約65万室がサブリース形式であり、社内でLGBTQフレンドリーを宣言しているため、オーナーからの反発はほぼなかったと報告しました。一方で、直接管理の残り5万室については、まだ対応に課題があると述べました。

代表理事の須藤からは、台本にないリアルなお話も!

実際の“壁”はオーナーではなく、オーナーよりも管理会社側に起因する場合が多いという実態もあるようです。同性カップルの入居希望を無意識の偏見や先入観などのバイアスによって断るケースも存在し、丁寧な説明と交渉によって改善される事例も多いことから、現場担当者の理解が重要だとお話ししました。

株式会社LIFULLの龔さんは、行政書士との連携による住宅購入サポートや、ペアローンの活用支援、公正証書の作成支援など、LGBTQ+当事者が直面しやすい課題に対して個別に対応しているとご紹介されました。

◼︎セッションⅢ:不動産業界に望むこと


調査では、「同性カップルを一律で入居拒否している物件は12.6%」「アウティング防止策を講じているのはわずか4.5%」など、業界全体としてD&Iの取り組みが標準化されていない現状が浮き彫りになりました。

本セッションでは、今後の不動産業界がどのようにD&Iを推進していくべきか、企業からの提言が語られました。

須藤からは、制度や理念だけでなく「現場対応者のバイアスの克服」が本質的な変化を生むとお話ししました。D&Iの推進には、対話を通じた理解と、具体的なチェックリストの普及などが必要になります。

大和ハウス工業株式会社の長谷川さんは、多様性推進は「面倒なことが増える」のも事実ですが、それを組織としてどう受け止めるかが問われるとお話しされました。

否定的な声があっても推進できる体制づくりが重要だと強調されました。

積水ハウス株式会社の祝原さんは、当初は社員の関心が薄く巻き込みに課題があったものの、経営トップによるアライ宣言やPrideイベントへの協賛が社内に強いメッセージとして届いたと語りました。

株式会社LIFULLの龔さんは、Slack上で“アライ”を自己表現する文化など、制度よりも風土づくりに注力しているそう。社員一人ひとりが当事者意識を持つことが重要だとお話しされました。

◼︎パネリストからのメッセージ

イベントの最後には、登壇者の皆さんから参加者に向けたメッセージをいただきました!

積水ハウス株式会社の祝原さんは、最初は制度もなく、知識も乏しく、数多くの失敗を重ねてきたと率直に振り返りました。それでも学び続け、現場と誠実に向き合い続けたからこそ、今の姿があるとお話しされました。完璧な制度がなくても、「誰かの味方になりたい」という想いが出発点となり得ること、「自分にできることから始めてほしい」というメッセージが伝えられました。

大和ハウス工業株式会社の長谷川さんは、取り組みを進めるうえで何より大切なのは、正解を出すことではなく、「話してもいい」と安心できる場をつくることだとお話しされました。それぞれの企業が、それぞれのペースで歩みを進めていくことが大切だと伝えられました。

株式会社LIFULLの龔さんからは、このイベントのような「対話の場」こそがD&I推進において非常に重要なインフラであるとお話しいただきました。

今日のような場が、業界全体へと広がっていくことを願っていると、伝えられました。

須藤は、「言ってくれれば対応する」という姿勢では、当事者は声を上げられないと指摘しました。まだ「選べない人」がいるという現実に目を向け、一つずつ選択肢を増やしていくことの重要性をお話ししました。

また、理事の堀川は、今回のように実践を持ち寄り、現場での葛藤や経験を率直に語り合えたこと自体に、大きな意味があったと振り返りました。

正解のないテーマだからこそ、迷いや試行錯誤を共有しながら、対話を続けていくことの大切さをあらためて実感したと語りました。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

今回の住宅みらい会議が、皆さまそれぞれの現場や日常における、小さな一歩につながっていれば幸いです。

今後も住宅みらい会議では、さまざまなイベントを開催してまいります。

これからも、住宅の未来を共に考え、語り合う場を大切にしていきましょう!

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